D.I.'s Memorandum

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会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」
JUGEMテーマ:読書

チャーリー推薦の1冊である。
人はインセンティブに従って行動する、を再確認している。
だから、その仕組みまで考えることが経営だと言う。
私が思うに、形式ではない、実業務という仕組み作りの
価値が低く評価される傾向が日本には多いと思う。
この本を読み、それを評価するインセンティブが少ないのだと、
実感するに至ったのは、得難いものだ。
しばらくは、インセンティブの有無で、仕事の優先度が上下するだろう。

P.5
これらを通じて見えてくるおは、ほとんどの人間は土壇場では、各人自身の動機づけの構造と性格に正直にしか行動できないという現実であった。

P.16
日本の企業はボトムアップ型の計画づくりや意思決定を行うから、意思決定に時間はかかる。しかし実行可能性の検証や社内の意思疎通がよくできているので、実施展開は迅速かつ確実であるといわれる。確かに自動車産業や精密機械における「すり合わせ」的なモノづくりにおいてはそのとおりであろう。しかし私の目の前で展開されている会議の多くが、そのように作用しているとは思えなかった。組織機能上の合理性、必要性のないものが、なぜこのように繰り返されるのか・・・。そう、やはり、それを行うインセンティブがこの管理職オヤジたちに働いているのである。

P.20
そこで考えるのは、自分や自分の周辺の人間の立場を組織人として守りながら、コンセンサス方式で意見をまとめることである。稟議のハンコの数が多いほど良い。うまくいけば成功の「父」はたくさん生まれ、その全員から感謝される。失敗しても皆で渡った赤信号だったので、誰か一人に責任が集中することはない。優秀なサラリーマンほど組織力学のマネジメントに知恵とエネルギーを使うものである。

P.25
この時期、現実経営の背骨は収支の帳尻を合わせることと、人を動かすことだと叩き込まれた。キャッシュフロー経営というと格好よく聞こえるが、営々と収支の帳尻、カネ回りの帳尻を合わせ続けることがいかに大変なことか。もしそれができなければ、現実はどんな歴史のある会社も、どんな大きな会社も、あっという間につぶれてしまう。しかも帳尻の方程式を成り立たせているのは、機械的に計算できるものではなく、そこで働いている人間である。仕入先や顧客も人間である。単なる指揮、命令では人は動いてくれない。各人、各個のインセンティブと性格に響くように勇気づけ、動機づける。こうしたこまやかな勇気づけ、動機づけがなければ、人は本当には動いてくれない。私はビジネススクルのプログラムにはない、実地の経営の難しさを、この時期に叩き込まれたのだ。

P.29
経営とはとにかく人である。人の動きがすべてである。人の行動を支配している動機づけやその人の人間性と、組織として追求しなくてはならない目的や戦略とが同期するとき、両者は最小限の葛藤で最大限の力を発揮する。より多くの割合でこの同期が達成されれば、その組織はより大きな力を集団として発揮する。これができれば経営者自身も含めて個々には弱い人間の集まりを、企業体として極めて協力な戦闘集団へと昇華させることが可能となる。しかもそれを市場や競合、技術革新、規制といった環境要因の変化に対応しながら持続的に行なわなければならない。これがマネジメントなのだ。

P.32
難しい制度論や戦略論をいじくりまわすことよりも人事一発のほうが人々の心に桁違いのインパクトを与えるのが現実の経営である。

P.46
実際に、うまくいっている会社とそうでない会社の違いは、戦略立案の優劣ではない。PDCAがよく回っている会社がよい戦略にたどり着くのである。逆にいうと、戦略が仮説にすぎないという本質を理解し、PDCAを回すことに精力を注いでいる企業こそ、戦略経営が実践されているといえる。

P.48
このように戦略力とはより合理的な戦略仮説を構築する知的能力と、それを実行しながら的確かつ迅速にPDCAを回す組織能力の掛け算である。そしてそのいずれその過程に関わる人々の人間性の現実、情理の作用の仕方でパフォーマンスが大きく左右されてしまうのだ。

P.63
いい高校に入り、いい大学に入れば、一流企業に入ることができ、幸せな将来が待っている、というのもそうだろう。そして、こうした暗黙の契約に向かって、人々は走ることになる。そうなれば当然、制度も、慣習も、人々の何気ない言動も、こうした暗黙の契約のための最適化でつくられていくことになる。そしてその道程で多くの人々が「暗黙の社会契約」というインセンティブの奴隷になっていく。

P.66
オールド・ルールの中で生きてくれば、オールド・ルールに適応した人が出世していく。それをその人たちが否定することはあり得ない。ルールの否定は自己否定につながるからである。

P.73
日本人は挑戦しない、新しいことをやりたがらないとよくいわれるが、これは日本人に問題があるのでも、個々の社員に問題があるのでもない。挑戦すれば報われるインセンティブの中で生きていると、とにかく自分に傷がつかないよう、慎重に動くようになる。また、皆が認めた人間は、なるべく傷をつけないよう、まわりも気をつける。そうやって、ある人が、予定調和的に偉くなる。本当の意味でリーダーにふさわしい経験をしていない人が出世していく。そんな歪な仕組みが出来上がるのである。

P.77
会社はそもそも人間様がより幸せになるための単なる手段にすぎない。法人の仕組みというのは、人類がこれまでに編み出してきた、人間が幸せになるための方法のひとつにすぎないのである。いちげん都合のいいような会社にすればいいだけのことなのだ。ところが、みんなが会社という道具の奴隷になってしまった。会社は形式的に守るために、人間がどんどん不幸になっていったのである。法人実存説は起こり得るし、実は起こりがちなことである。人間がつくってきたあらゆる組織、国会でも、会社でも、軍隊でも、そういうことが起こり得る。ファシズムや戦前の日本軍もそうだた。
大事なことは、常に懐疑を働かせることである。危険性の認識を持ち、個人が構成するものというのは、こういうことが起こり得るということを、頭に入れておかなければならい。

P.82
今、世界で起きているのは、社会主義圏が自由主義圏に組込まれて起きた人件費格差を活用したビジネスモデルの勃興であり、それがもたらした新しいマーケットの登場なのだ。

P.86
合理で見ると、今のシステムは明らかに制度疲労を起こしている。旧来のシステムが、人間を幸せにするのではなく、不幸にする時代に変わりつつあるのだ。日本の成功モデルは従来の時代では証明されたが、今の時代にそのまま通用する保証はなく、むしろ実際は散々たるものだ。頼るべきはDNAだが、変化されるべきものは仕組みである。これに抵抗するのは、既得権益を持つ人たちである。

P.99
しかし、再生は簡単に進むわけではない。処方箋を書くのはそれほど難しいものではないが、それをどう実行に移していくかが問題なのだ。いわば、「合理」は処方箋に書かれている。しかし、合理だけでは組織は動かない。そこには「情理」もしっかりふまえた、綿密なシナリオが必要になる。そしてこれは、プロフェッショナル組織である、産業再生機構自身のマネジメントにも、欠かせないものだった。

P.118
再生は、実は「言い訳」との戦いなのだ。部分改革を順次展開するというアプローチは、この言い訳をわざわざつくってやるようなものである。...
必要なのは、さまざまなテーマや経営課題を、現場のリアリズムを見据えながら、新しい調和の再構築に向けて整合的に克服していくこ。再生は突出したソリストの圧倒的な独奏では決っして成立しない。...それを全体として整合させるリーダーたちとのオーケストレーション・ワークである。
...
しかし、現実の事業再生、現実の経営改革は、そんなものではない。その90%が「当たり前のことを当たり前にやる」ことに尽きる。

P.172
だから強い経営者は、トップを張るにふさわしい経営者を鍛え選抜すること、さらにはそういう人材プールを企業としても、さらには社会全体としても、一人でも多く持っておくことは、会社を腐らせない最強の予防医学なのだ。

P.178
どちらかというと、「こっちの顔色を読んで、オレの期待している答えを書いてこい」という上司の思いに応えるのが、普通はサラリーマン的に正しい生き方だろう。...そういうインセンティブが働くからである。それが求められているからだ。本人が愚かなわけでも、けしからんわけでもない。その環境にいれば、そのように適応していくのが人間の本来の姿、そう私たちは皆「インセンティブと性格の奴隷」なのである。

P.200
では、これから求められるのは、どんなリーダーなのか。少なくとも、組織人として予定調和的に偉くなろうとしている人には無理であろう。むしろ、組織から、あるいはゲマインシャフトの論理から、はみ出そうとするくらいの人間こそ、必要とされている。はみ出すほどの根性がない人間を、これからのリーダーにすべきではない、ということである。

P.193
そのためにはトップの選抜方法、選抜基準を根本的に変えなくてはならない。また組織構成員に共有させるべき基本的インセンティブ構造も、PDCAを回すことを促す方向へ、判断そのものの合理性を尊重する方向へ、反対に、組織内でリスクヘッジをかけてハンコの数を増やす行為は報われない方向に向かせ、再設計する必要がある。最後の仕上げは、実際に年代や出身部門、過去の慣例にとらわれず、あくまでも未来に向けて最適・最高の人材をトップに専任する。
このような予定調和的でないガチンコ人事を繰り返すことで、リーダーを目指す人材たちは、正しいインセンティブに従って行動し、自らを鍛え始める。


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